豊橋技術科学大学では、「メタバースの活用と技科大リソースマネジメントによる研究教育システムの価値向上と財政基盤の拡大」取組の一環として、基盤となる各種メタバースコンテンツの開発を進めています。2023年度に、さらなるテック・メタバースの拡充を目的として、経営改革促進事業に資する新たなコンテンツ開発プログラムを公募し、16のコンテンツ開発を支援しました。このうち一部をご紹介します。

■名称

農業生産シミュレーション実験室のメタバース構築

■目的

農作物(キノコ等)の生育状況と生育環境制御を把握し、生育シミュレーションによる生産量評価を行うため、リアル空間でのセンシング情報収集装置の整備とメタバース空間でセンシング情報を可視化するコンテンツを開発します。

■内容

産業活性化や地域の課題を解決するという、リアルとバーチャルがシームレスに融合した「テック・メタバース:農業生産シミュレーション実験室」構築(図1)において、「現実の場」と「仮想の場」の構築を行いました。具体的には、キノコ生産棟(本学鹿児島高専サテライト:培養室、発生室等)でのキノコ発生状況(現実の場)を2次元で把握し、これをレンダリング機能により3次元イメージに落とし込み仮想の場の整備・構築を行いました(図2)。

■実際の活用事例

開発した「テック・メタバース:農業生産シミュレーション実験室」とは、キノコ発生シミュレーションであり、現実のきのこ育成状況に対応した仮想のきのこ育成状況です。具体的には、培養室内の培養環境(温度、湿度、CO2濃度)変化に対応して、現実/仮想の両方のきのこ育成形状が変化します。コンテンツの実際の利活用例として、目的のきのこを育成するために培養環境を管理・制御します。

昨年度までは、既存のクラウドサービスを利用し、培養環境及び発生環境の条件を把握し、把握したデータをバーチャル環境で表現する段階まで行いました。今年度は、昨年度に把握した「二酸化炭素量、湿度、温度」に加え、画像データや気圧、照度など幅広く拡張性を持たせるためラズベリーパイを活用し計測を行っています(図3、図4、表1)。今後、農作物(キノコ等)の生育・生産を行うなかで、高付加価値(高機能性)を有する農作物を生産する予定であり、多様な培養環境条件を踏まえたデータを取得してきのこ育成形状データを把握する予定です。

更にテクノロジーにより「現実の場」と「仮想の場」の連携を行ったうえで、既存の生産者による経験(生産物及び生産過程による産品の評価)も定性・定量データとして取得していく予定です。蓄積されたデータをもとに、学生に対し、農業生産シミュレーション実験室に係る学習の場を提供し「人材育成の場」の活動を推進する予定でもあります。その結果、「生育シミュレーションによる生産量評価」を駆使して、サーキュラーエコノミーによるエコシステムの構築、高度DX人材育成も実践する予定です。

ichitsubo1.jpg図1 テックメタバース

ichitsubo3.jpgichitsubo2.jpg

図2 仮想空間上のキノコのレンダリングデータ

ichitsubo4.png図3 工程図

ichitsubo5.png図4 培養室内環境―CO2データ―